10月11日。この日は大型台風が接近していため、どんよりした天気。心なしか、風が吹いている。普段の風とは少し違う。台風が接近する前に感じる風だ。
この朝、7時33分新大阪発の特急くろしお1号 新宮行きに乗って、台風が接近している紀伊半島に向かった。二週続けてになる。夜には大阪に戻る予定。本当は予定をはずしたかったが、外せなかった。
この時点では、台風は紀伊半島の南の海上、日本列島から離れたところにあった。そこから、少し北進して東に向かう予報。しかし、夜には紀伊半島も暴風圏に入ってしまう。暴風圏の直径は東京大阪間ほどある。ニュース映像を見ると、台風の雲に日本列島がすっぽり入るぐらい大きい台風。接近する随分前から勢力が強い台風だと騒がれている。日本に近づきながらも勢力が強まり、最大瞬間風速75mまにでなった。
目的地に到着するころには強風圏に入りそうだ。この大きな台風が近くを通ると大変なことになる気がする。また、少しでも早まると、この日、帰ることができないかもしれない
乗り込んだくろしお1号の車内はいつもより少し人が多い。ざわついている。小さい子供の家族連れもいる。子供の声が時折車内に響く。嵐のようだ。
家族連れは、台風が接近しているの中、どこへ行くのだろう。
和歌山駅までは一時間半程度。和歌山駅を過ぎると、進行方向右手に海が見え始める。ここからの海が見える景色が好きだ。
この日の海の色は、グレー。
先週見た青い海とは全く違った。
進むにつれ、見えてくる海はグレーに白い波が目立つようになってくる。
車窓には、荒れた海の景色が流れる。高い波が岩を洗い、しぶきを挙げている。窓を隔てた車内は、子供が寝たようで静かだ。単調な、紀勢線独特のテンポで車輪が線路の継ぎ目を通る時にする音が響いている。
海が荒れている様子は、テレビでは見たことがあるが、レンズを通さずガラス越しではあるが自分の目で、見るのは初めてだ。白い波がうねる海面に顔を出したり隠れたりしている。自然の力は大きい。
一週間前も同じ電車に乗った。この時は、青い空が広がり、海の色も空の色が映えて碧かった。穏やかな表情だった。
こんなにも違うものなのかと。
上の写真は、古座川市田原海岸あたりで車窓から撮った写真。多少のずれはあるがほぼ同じ場所で撮れていると思う。
短い滞在中は、雨も降らず風もそれほど強くならずに済んだ。帰りは、15時すぎのくろしおに乗って大阪に向かった。
帰りの電車から見える海の様子は、向かう途中に見た様子より強く荒れていた。海沿いを走る電車に浜に打ち付けた波が浜を通り越してかかった。窓にバッっと、波しぶきがあたった。
この台風19号は、夜に静岡県に上陸し、関東平野を縦断して、東北のあたりで、再びに海に出た。この台風は日本列島特に中部から関東・東北にかけての山間部に大量の雨を降らせた。これにより関東信越東北の多くの川が氾濫した。この台風により多くの人がなくなり、たくさんの家屋が浸水するなどの被害を受ける大災害になった。台風が通過した後、日をおって災害の状況が被災地から伝わってき、被害の甚大さが明らかなになってきた。
亡くなられた方のご冥福と早い復興ができることを祈ります。
10月11日(金)
10月4日(金)